●世界の食育

日本では、2005年に「食育基本法」が成立しました。「食育」が法律で制定されたのは、世界では日本だけです。

それでは、海外では「食育」は行われていないのでしょうか?
先進国の欧米では、日本の「食育」にあたる取り組みが積極的に行われています。
「ファイブ・ア・デイ(5 A DAY)」という言葉を聞いたことがありませんか?
これは、1日に5皿分以上の野菜や果物を食べよう、というアメリカで始まった運動です。野菜や果物を食べることが生活習慣病予防になるという研究が発表されたのを受け、1991年にスタートしました。
アメリカは、昔は日本よりも野菜や果物を食べる量が少なかったのですが、この運動のおかげで96年からは、逆転して、アメリカの方が野菜の摂取量が多くなっています。
野菜やくだものの栄養価や産地を勉強しながら食べることで、子供たちは野菜が好きになるのだそうです。

「ファイブ・ア・デイ」運動は、今ではイギリスやフランス、カナダでも行われています。

また、アメリカでは「食べられる校庭」という授業も行われています。
子供たちが自分達で校庭に、小麦やとうもろこし、レタスなどの野菜を栽培し、時期が来たら収穫して、自分達で調理して給食で食べます。この授業で子供たちは野菜などを育てる方法を学び、食べ物を作る苦労を体験。食べものを作ってくれる人たちへの感謝の気持ちも育みます。

フランスでは「ルソン・ド・グー」(味のレッスン)という授業が行われています。

一流のシェフたちが学校にやってきて、食べもののあつかい方や、水の味の違い(含まれるミネラルの量で味が違う)、食べものを捨てないための食べ方などを教えています。

また、食文化を守るために、10月の第3週の1週間、フランス各地の伝統的な料理を作ったり食べたりしています。食文化を守り、後世に伝えることも大切な食育だと考えられています。

イタリアでもフランスと同じように、有名シェフが学校に来て一緒にお料理をしたり試食をしたりしています。子供の時から確かな味覚を育てようという試みです。

イギリスでは遠足や学校の授業で農場にいく活動が盛んに行われています。

正しい食生活や、健康を保つばかりでなく、食べものへの感謝の気持ちを養う「食育」は、今、世界中で大切にされている活動です。